葬儀を行うために喪主がしなければならない準備とは

配偶者や親が亡くなると、喪主を務めなければならなくなることがあります。

誰が喪主となるかについては、定まったルールがあるわけではありません。

ただ、配偶者や親、長男長女、同居する子といったように、故人と親しく緊密な関係にある方が行うのが一般的です。

喪主の仕事には様々なものがありますが、中でも大事なのは葬儀を滞りなく行うことです。

今回は、故人の死亡から葬儀の準備に至るまでを取り上げて、喪主の行うべき仕事をご説明します。

1.喪主となったらまずすべきこと

喪主となった場合に行うべき仕事には、ご遺体関連の様々な事務と、葬儀を見据えての葬儀社選びとがあります。

順に確認していきましょう。

(1)ご遺体を巡る手続き

①ご遺体の取扱い

まず、ご遺体については末期の水のほか、湯灌(ゆかん)、身繕い、死化粧といった処置を施します。ご遺体を清め、外見を整えるのです。

それと共に、ご遺体の安置場所を確保しなければなりません。ご自宅か斎場が多いでしょう。

安置場所が決まれば、ご遺体の搬送を行います。

②行政上の手続き

ご遺体を巡る事務には、行政上の手続きも欠かせません。ご遺体を放置したり手続きを踏まずに火葬したりすれば、罪に問われてしまいます。

人が亡くなると、まず死亡診断書(あるいは死体検案書)を医師に書いてもらいます。

それから死亡後7日以内に役所の窓口へ死亡届の提出をします。併せて同じ窓口へ火葬許可申請書も出しておくといいでしょう。

③宗教関連の儀礼

人が死亡した際には、宗教関連の儀礼も執り行う必要があります。

始めに行うのは、故人の宗教・宗派の確認です。これにより葬儀の形式や流れ、手順が変わってくるためです。

その後、仏教であれば寺院、神道なら葬儀社など、キリスト教なら教会といったように、それぞれの宗教施設へ連絡をします。

また、仏教式で行う場合には、お寺に枕経の依頼をすることもあります。

(2)葬儀社の選択

以上の事務手続きなどを進める一方で、葬儀社も選ぶ必要があります。

葬儀社やお寺を一切介さないで葬儀を進めることも不可能ではありませんが、手続きなどが非常に煩雑となるため、おすすめはできません。

葬儀を執り行ってくれる主な会社や団体としては、専門葬儀社、互助会、JAないし生協が挙げられます。

それぞれ特徴が異なりますが、選ぶ際に着目すべき点としては以下の通りです。

  • 費用(見積もり)
  • 担当者の人柄(丁寧で礼儀正しいこと)
  • 提案力(どのような葬儀にするかの助言)
  • ノウハウ(地域に合わせた葬儀実施の経験)

故人を安らかにお見送りするためにも、丁寧な対応をしてくれる葬儀社を選ぶようにしましょう。

2.葬儀の準備と気をつけたい点

「葬儀の準備」とだけ聞くと難しそうですが、あまり身構えることはありません。

人の集まる催しを行う際に必要となる一般的な準備と、葬儀特有の準備とに分けて考えることで、わかりやすくなります。

(1)一般的な準備事項

葬儀に限らず、どのような催しをする際にも、「日時」「場所」「予算」「参加者への連絡」の取り決めは必要です。

特に葬儀を行う場合、次の点に気を付けておくといいでしょう。

  • 日時:火葬場の都合との兼ね合いを考慮し、また友引を避ける。
  • 会場:葬儀の規模や葬儀形式、搬送の便宜を考えておく。
  • 予算:葬儀以外にも、寺院へのお布施や参列者への接待費用が掛かる。
  • 連絡:訃報を伝える範囲や順番を整理しておく。

(2)葬儀に特有の準備事項

他方、葬儀に特有の準備事項には以下のようなものがあります。

  • 葬儀形式:一般葬や家族葬、社葬・合同葬、密葬、直葬などがある。
  • 精進料理:肉や魚、刺激物を避ける。また火葬後に振る舞われる「精進落とし」もある。
  • 戒名:仏教式の葬儀であれば、お通夜の前までにいただいておく。
  • 遺影:本人の生前から準備しておくことも。表情のある写真が相応しい。
  • 返礼品:葬儀会場でお渡しする場合、事前の準備が必要となる。消耗品を選ぶこと。

他の事務と並行して進めるのがやや大変ですが、中には予め準備できるものもあるので、見落としのないよう一つ一つ済ませましょう。

(3)葬儀にあたっての注意点

葬儀にあたっては、流れや葬儀形式ごとのメリット・デメリットをきちんと理解しておくことが重要です。

特に問題となりやすいのが費用面ですので、見積もりに関して明確な説明をしてくれる葬儀社を選ぶといいでしょう。

3.新しい葬儀の形

葬儀をどのような形式で行うかを決めるのは、喪主の仕事の中でも重要な事柄です。

ライフスタイルの変化に伴い、葬儀のやり方にも新しいものが出てきています。

(1)夕刻一日葬

通夜がない一日葬を「夕刻一日葬」と呼びます。

一般的な一日葬と違い、火葬後の夕刻より告別式を行なうというスケジュールとなります。これは、日中に仕事などで外せないという方でも参列しやすいように配慮された葬儀であり、参列者の都合によっては一考する余地があるでしょう。

(2)ドライブスルー葬儀

近年は車から降りずに葬儀に参列できる「ドライブスルー葬儀」も登場してきています。

参列者は専用レーンに進み、受付台の前で停車し、タブレット端末や帳簿などを使って記帳を行った上で、香典を葬儀場スタッフに渡します。窓越しに葬儀場内の遺影が見え、車内から電熱式の焼香を行います。

場内の喪主らは参列者の到着をランプの点灯で知り、焼香の様子などをモニター画面で確認する、という流れとなります。

障害者や高齢者でも車から降りずに参列可能というメリットがあります。

まとめ

葬儀の準備にあたっては、法律と宗教とマナーを意識する必要があります。

中でも、他人を招いて行う催しに共通する手続きと、葬儀特有の手続きとがあるため、どちらも欠けることのないように準備をしましょう。

喪主として葬儀形式を選ぶ際においては、新たな選択肢もあることを知っておくと、可能性が広がります。

葬儀社などともご相談の上、もっとも相応しい葬儀を行えるようにするといいでしょう。