デジタル遺品、パスワード解除のヒントや生前対策

遺品整理という行為自体は昔からあるものですが、昨今の遺品整理は以前とは多少事情が異なるようになってきました。

その一つがパソコンや携帯等のデジタル製品に関するものです。

今回はそういった所謂デジタル遺品と呼べるような遺品を扱う際にどのようにすれば良いのかを解説します。

デジタル遺品とは?

2000年以降、パソコン、携帯電話、インターネット、スマートフォンの普及によって身の回り品が急速にデジタル化しました。

  • パソコン
  • 携帯電話
  • スマートフォン
  • USBメモリ
  • SDカード

これらに入っているデータが代表的なデジタル遺品といえます。

なかには故人様の生前の交友関係や思考思想、趣味嗜好などがそのまま残っており、できれば中身を確認せずにそのままデータ削除、適切に破棄してしまうのがお互いのためだったりしたのですが…

ここ近年、FacebookやTwitterといったSNS、ネットバンキング、クレジットカードによるオンライン決済、株・FX・仮想通貨といったネット金融商品の取引を利用する方が増えました。

  • もしメガバンクや地方銀行ではなくネット銀行に預金をしていたら?
  • ネット金融商品でなんらかの取引をしていて大損していたら?
  • 毎月自動的に課金される有料コンテンツに加入していたら?

など、見えない資産や負債が存在していることになり、正しい相続ができなくなる可能性も高くなり、データを安易に消去できる世の中ではなくなりました。

デジタル遺品を整理するには?

もしパソコンやスマートフォンなどが遺されていて、電源を入れてそのまま使用できるならば、

  • アプリ
  • フォルダ
  • ファイル
  • インターネットブラウザ(ブックマークや履歴)

などをチェックし、ネットバンキング、オンライン決済、ネット金融商品、SNSなどをやっていた痕跡がないか確認していきます。

しかし多くの方がパスワードやPINを設定していると思われます。

パスワード解除のヒント

パスワードがかけられていたのであれば、次のような遺品を中心に、パスワードが記されていないか探していきます。

  • 手帳
  • ノート
  • クリアファイル
  • 金融機関からの書類
  • 携帯電話会社やインターネットプロバイダからの書類
  • パソコンやスマートフォンの箱や説明書

ただやみくもに探すような感じであれば時間が無情に過ぎていきますので、遺品整理業者に依頼したほうが効率的かもしれません。

遺品整理業者は相続に関わるような重要な金品や書類などは処分せずに手元に残してくれるはずです。

そのなかに故人様の手帳やノート類があれば、くまなくチェックしていきます。しかし残念ながらそのような記載がなければ、イチかバチかですが、

  • 故人様やご家族の誕生日
  • 結婚記念日
  • ニックネーム
  • メールアドレスの@より左側の部分
  • 車のナンバープレート(標識番号)
  • 携帯電話番号の下4桁
  • 好んで使っていた語呂
  • 画面やキーボードのとくに汚れている部分

などを入力してみます。

残念ながら万策尽き、パスワードが解除できなければ、ご家族でパスワードを解除しようとするのはあきらめましょう。

パスワード解除できなかった場合の対処法

パスワードが解除できない場合も想定し並行してカードや郵送物もチェックしておきます。

楽天銀行やジャパンネット銀行など見慣れない銀行のキャッシュカードなどがあれば、それはネットバンキングを活用していたとみて間違いありません。

ネット証券会社からの郵送物があればネット金融商品を利用していた可能性があります。

またクレジットカード明細書に、Amazonで購入した旨や毎月定額が課金されている場合は、オンライン決済や有料コンテンツなどを活用していた証拠となります。

その場合は、相続人であることを明らかにしたうえで、ネット銀行、ネット証券会社、クレジットカード会社などに連絡し、今後の対応を確認しましょう。

しかしながらどうしてもパスワードを解除して、データを確認したい方は、デジタル遺品のパスワード解除、データ抽出を専門に行ってくれる業者もありますので、外注するのもひとつの方法です。

もし今現在、転ばぬ先の杖としてデジタル遺品のことを調べており、ご家族も全員、健在であれば今のうちから対策をしておくことでトラブルを未然に防ぐことができます。

デジタル遺品トラブルを未然に防ぐ対策方法3つ

1. ご両親のパソコンを借りてみる

実家に行ったときなどパソコンを借りてみるのです。「パスワードなんか設定しておらん」といわれたら、ひとまず安心できますよね。

2.パスワードなどをノートに記し残すよう徹底

家族会議を開き、ご家族の年齢に関係なくご自身も含め、パソコンやスマートフォンのパスワードなどは一冊のノートに記し残すようにしておこうと決めてください。

その際、特徴のある同じノートを全員に配るのです。そうすればみんなが、パスワードを記して残すクセができ、お互い有事のときは安易に探しやすくなります。

3.見られて困るようなデータは残さない

パソコンやスマートフォンには、誰もが他人に見られたくないような写真や動画なども保存しているものです。

いい思い出ならとっておくべきですが、残しておく必要性もないデータも多いはずです。

ウイルスや誤操作でネット上にアップされたり、身近な相手に送信してしまったりするおそれもあります。

そのような心配をしなくていいように他人に見られて困る「恥ずかしい」データは残さないようにしたいものです。

まとめ

デジタル遺品は、故人様のパソコンやスマートフォンなどに残されたデータのことです。パスワードがわからなければデジタル遺品の整理はできず、カードや郵送物から確認していくことになります。

どうしても中身を確認したいときはデジタル遺品専門の業者もありますので活用しましょう。

家族全員がパスワードなどをノートに記し、他人に見られて困るようなデータを残さないようにするなど、デジタル遺品トラブルは未然に防ぐことができます。