遺品整理時・そのあとに発覚しやすい対応が必要な問題
大切な方がお亡くなりになり、その悲しみも少しやわらぎ、前に進もうと遺品整理に取りかかろうとする段階に…
しかしその前に、ストップです。
今回は、遺品整理時やそのあとに発覚しやすい問題を4つご紹介いたします。またご参考までに、その対処法も提示いたします。
遺品整理時に会社の備品や機密資料
本来は会社に帰属すべきものですので、処分せずに一時保管しましょう。そして…
故人が生前、本当にお世話になっていた会社であれば、「自宅から会社の備品と資料が出てきた」と申し出て返却しましょう。
しかしブラック企業で、残業があまりにも多く、休日返上、家に仕事を持ち帰り夜遅くまで作業をしていた、亡くなったあとの会社の対応に不信感があった場合、過労死したのではと疑っていた場合などは、対応を変えます。
過労死の重要な証拠となりうる可能性もありますので、弁護士に相談のうえ、返却すべきかどうか決めたほうがよさそうです。
遺品整理時にわいせつなDVDやグッズ
→処分
家族で遺品整理をしているとき、故人が男性なら必ずといっていいほど、わいせつなDVDやグッズが出てきます。
「真面目な人」と信じていたご家族が目の当たりにした場合の精神的ショックは計り知れません。ただ忘年会の景品で、仕方なく持ち帰ったなど、いろいろな事情があるとは思います。
もちろん問題がなければ、人目に触れないよう捨てればいいです。しかしDVDならパッケージはプラスチックで燃えるゴミ、本体は金属類ですから燃えないゴミにあたり、分別作業、DVDの裁断作業と、ご家族にとっては苦痛な作業かもしれません。
遺品整理業者に依頼をした場合は、遺品整理士が依頼者の心情を考慮し、事実を明かさずに処分することもあれば、後日お伝えすべきと判断しその日まで保管、処分方法をどうするか依頼者と話し合って決めるときもあります。
遺品整理業者に依頼することで知らなくていいことを知らずに済むということもあります。
生前親交があったと思われる方から年賀状
→手紙を送る
生きていると、親しくなる方は数えきれないほど多く、親友となり、なかには家族ぐるみでのお付き合いに発展する方もいることでしょう。
しかし長く生きていると、「いつか会おう」とお互い約束していたものの疎遠になり、年賀状だけのやりとりだけになってしまう場合もあります。
もちろん家族の誰もお会いしたことがなく、本人以外知らない交友関係も少なからずあるでしょう。
喪に服していたお正月、知らない方から一通の年賀状が…
その場合は年賀状のお礼と故人逝去のご連絡、ご連絡が遅れたことのお詫びをしたためて封書でお返事として送りましょう。
律儀な方なら生前どのような親交があったのかのお手紙とともにお香典を、現金書留で送られてくる場合もありますので、あらかじめ丁重に「お香典などのお心づけは不要でございます」などと辞退の旨を添えておかれるのもいいでしょう。
それでもまたお手紙が来たら、晩年の元気だった故人のお写真を一枚添えて、手紙のお返しをすれば、その方もまた、きっと喜ばれることでしょう。
遺品整理後に多額の負債が発覚
→真偽を調査し、しかるべき対応をとる
大切な家族が亡くなり、葬儀、初七日、四十九日の法要を終え、相続、遺品整理も終え、半年が過ぎたころ、実家に来客が…
故人を参りたいと家に上がり込んだものの、焼香もそこそこに来客は「実は個人的にお金を貸していた。これが借用書で実印も押してある。すぐに耳を揃えて返してほしい」と申し出てきた。
数万円ならその場で返してもいいとは思ったものの、借用書の額は数百万。今日明日ではムリと伝えたものの、相手は返してくれるまでここから帰らないといいだした。
そのような場合は落ち着いて、冷静に対応することが求められます。
- 大金ですので準備や確認が必要だと主張する
- 家族を招集して相談したいと主張する
- 今日のところは帰ってほしいと伝える
ようにし、それでも帰らない、声を張り上げる、恫喝や暴れるような行為を見せたら、玄関から一歩、外に出て携帯電話で警察に通報します。
お金については民事不介入ですが、相手が帰らないとなれば、平穏な生活を脅かされたわけですから警察は、「困りごと」として対応してくれるはずです。貸金業者なら不退去罪に問われます。
突然、浮上した借金についてですが、いわれたまま相手に返すのではなく、その前に真偽は、きちんと調査しなければなりません。
通常、通帳など貴重品は遺品整理業者が整理時に探索し、別に分けてくれますので、そのまま保管しておけば、すぐに借り入れ、返済の事実などを確認することができるでしょう。
調査の結果、返済完了しているもしくは違法貸金業者(ヤミ金)であったなら、弁護士などを通じて突っぱね、その借金が事実で実際に返せる額であれば、債権者に返してあげるのが筋だと思われます。
借金なら相続放棄すればいいのではと思われた方もいるかもしれませんが、遺品整理を行い、処分などをしていた場合、相続放棄ができない可能性があります。
なぜなら
(法定単純承認)
第九百二十一条 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。 一 相続人が相続財産の全部又は一部を処分したとき。(以下、省略) |
という民法の条文があるからです。
そのため遺品整理を行うなら、相続手続きをすべて終えてからにすべきです。
故人が生前、お金を借りていたかもと不安がよぎっている方は、まずは弁護士に相談のうえ、相続の手続き、遺品整理のタイミングについて相談されるようにしてください。
また遺品整理業者にお願いするときも、貴重品の探索は振込票も含め抜かりなく依頼し、出てきた貴重品はすべて、しばらくは保管しておくようにしましょう。