遺品整理はこのタイミングで行うとよいでしょう
亡くなった方の遺品をいつまでも整理できない方がいます。故人への想いが強すぎて、遺品を整理したらその方とのきずなが切れてしまうように感じるからです。
しかし遺品整理は、悲しみを乗り越えるための第一歩になります。また故人も、自分のかつての持ち物が有効活用されることを望んでいるはずです。
そこで「このタイミングで遺品整理を行ってはいかがでしょうか」という時期を5つ提案させていただきます。
提案1:三回忌に行う
仏教では、亡くなった方に関する節目がいくつかあります。なかなか遺品整理に踏み切れない方は、節目のひとつである三回忌法要のタイミングで行ってはいかがでしょうか。
三回忌は、亡くなった年の翌々年の命日に行います。例えば2018年に亡くなれば、三回忌は2020年に行います。三回忌をもって、冥界における故人の審判が終了することになるので、天国の故人も一息ついているのではないでしょうか。
冥界とは、いわゆるあの世のことです。
三回忌は仏教的にも節目の意味合いが強いのですが、月日の経過としても短すぎず長すぎず、ちょうどよいのではないでしょうか。
仏教の節目には、亡くなって7日目の「初七日」や99日後の「百箇日」、1年後の「一周忌」などもありますが、これだけしか経過していないと、まだ遺品に「故人のぬくもり」を感じてしまい整理しづらいかもしれません。
しかし「七回忌」は亡くなった年の6年後ですし、「十三回忌」は12年後になってしまいます。これでは、遺品の「物品としての価値」が損なわれかねません。
もちろん三回忌に遺品整理をする決まりはないのですが、区切りのよい日程といえそうです。
提案2:「捨てるもの」は2週間以内
遺品のなかには、故人も残された家族も「要らないだろう」と考える物品があると思います。実は遺品整理では「分ける」より「捨てる」ことのほうが重要なのです。
もし家族のなかで廃棄することに異論が出なさそうな物品があったら、代表する方が家族全員の同意を得て、没後1週間以上2週間以内に処分してはいかがでしょうか。
捨てるものとはいえ、いくらなんでも1週間以内に処分するのはいたたまれないでしょう。しかし3週間以上経ってしまうと、捨てることへの躊躇(ちゅうちょ)が強まってしまうかもしれません。
家族のなかの誰かが、「とりあえず要らないものだけで処分してしまおう。大切なものの遺品整理はその後にゆっくりやろうよ」と提案すると、スムーズに運ぶと思います。
提案3:諸手続きが終了したタイミング
人はさまざまな社会活動をしているので、人が亡くなると家族は故人の社会活動を停止する手続きをしなければなりません。
住宅の世帯主が亡くなれば、同居家族は電気・ガス・水道の支払いの名義を変更しなければなりません。電話、クレジットカード、ネット環境も同じです。預貯金からの現金の引き出しも手間がかかります。
公的医療保険や介護保険の保険料の支払いを中止しなければなりませんし、年金は遺族年金の支給を受ける手続きが必要になります。
生命保険の保険金の受け取りの手続きもしなければなりません。
このような手続きは矢継ぎ早に一気に行う必要があります。
遺品整理を、これらの事務処理の「勢い」を借りて行うのもひとつの手段といえます。
提案4:ベストは家族で決めた日
遺品整理のベストなタイミングは、家族で日程を調整することです。遺族のなかで最も事務処理能力が高い人が音頭を取り、遺品リストを作成したり、家族が打ち合わせをする日時を定めたり、打ち合わせのときの司会進行をすると、遺品整理はスムーズに運ぶはずです。
もちろん遺族のなかには、遺品整理をそのように機械的に進めたくないという人もいるでしょう。しかしまずは遺品整理の段取りやスケジュールをつくり、それについて遺族から賛否を募ることで、段取りやスケジュールの第2案をつくることができます。
遺族たちの意見を反映させた第2案の段取りやスケジュールなら、それに反対する人は減るはずです。
このように慎重に遺族たちの合意を得ていくと、遺品整理の日程だけでなく、誰がどの遺品を引き継ぐかという重大な問題も乗り越えることができます。
遺品整理では1人が「ごねる」だけで中断してしまうことがありますが、遺族たちの大多数の総意が得られれば、「ごね得(どく)」を予防することにもつながります。
2~3段階で遺品整理を行う
「もの持ちの人」や「趣味の人」が亡くなると、遺品の点数が膨大になることがあります。その場合の遺品整理は、2~3段階に分けて行うといいかもしれません。
例えば次のように3段階で行ってはいかがでしょうか。
- A. 捨てるものを決める日
- B. 金銭的な価値が低い遺品を整理する日
- C. 金銭的な価値が高い遺品を整理する日
このように遺品整理のタイミングをずらすことで、遺族間のコミュニケーションが増え、納得できる遺品整理が行えます。また、遺族のなかにはC:金銭価値が高い遺品整理にだけ出席する人が現れるかもしれません。そうなれば、AやBは参加者が少なくなるので時間がかかりません。