【遺品整理の落とし穴】賃貸の持ち家の違い

遺品整理を行う時にはその家が持ち家なのか賃貸なのかでその手順が違ってきます。どちらも同じだろうとその違いに気づかずに遺品整理を進めると、思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。

ここでは遺品整理を行う場合での賃貸と持ち家の違いをご紹介します。

持ち家はなるべく生前整理をしよう

持ち家で遺品整理をする場合は、賃貸物件よりも遺品の数が多いことが予想されます。物置や押し入れなど、長年手を付けていない収納スペースに、思い出の品や貴重品などが眠っている可能性もあるでしょう。

遺品が多ければそれだけ処理の仕方を考えなければならないものが増えるということです。そのため、特に持ち家では、両親が生きているうちに遺品整理を行う、「生前整理」を検討する必要があります。

両親が健在のうちに遺品整理を行うなど気が進まないかもしれませんが、生前整理にはいくつかのメリットがあります。

まず、思い出のアルバムやおもちゃなどを一緒に片付けることで、一緒に過ごしてきた時間の思い出を共有することができます。自分の人生を振り返るための大切な機会を作ることが可能なのです。そうした機会を設けることで、残された時間をどのように使うかを改めて考え、心境の変化が訪れることもあります。残りの人生を有意義に過ごすきっかけになるかもしれません。

また、衣類やアクセサリーなど、自分が譲り受けたいものについて、事前に両親に相談することができます。両親が大切にしていたものや好きだったものを譲り受け、意志を受け継ぎたいという人もいるでしょう。両親にとっても、「形見」として家族に残しておきたいものがあるかもしれません。

逆に、どうしても処分してもらいたいものなどもあるでしょう。生前整理をすることによって、残される家族の意志、両親の意志を明確にすることができるのです。持ち家で遺品整理を行う際は、生前整理をご両親に相談することも、有効な方法の一つです。

持ち家の遺品整理で注意しなければならない点は、遺品の量が多い可能性が高いことです。しかし、持ち家ならば毎月家賃を払わなければならないということはないので、ある程度時間をかけて遺品整理を行うことができます。親戚や兄弟姉妹で協力して遺品整理を行ったり、家族でじっくり話し合ったりするなどして、計画を立てましょう。

賃貸はスピードと修繕に注意しよう

一方、賃貸物件での遺品整理は、時間をかければかけるほど、家賃や光熱費などの支払いがかさみます。そのため、迅速な遺品整理を行う必要があるのです。

計画的に遺品整理を行うためにも、まずは、物件を借りた際の建物賃貸借契約書を確認しましょう。建物賃貸借契約書で確認しなければならない項目の一つは退去日と家賃です。

住民が亡くなった場合は、当然ですが住んでいた物件を解約する必要があります。その際、もし決められた退去日より早く、または遅く退去した場合は、違約金が発生する可能性があります。

また、入居して1年未満で亡くなってしまうなど、短期間で賃貸を解約することになった場合も、違約金が発生する場合があります。通常、家賃の1カ月分プラスアルファで請求されることが多いです。

公営住宅の場合は、「原状回復義務」が課せられていることもあります。原状回復とは、その名の通り部屋に住む前の状態に戻すことです。家具やカーペットなどを撤去し、掃除をしてできる限り元の状態に戻す必要があるのです。なかには、換気扇や網戸などの撤去までしなければならない場合もあります。

遺品整理を行いたいけれど、捨てるか残しておくかすぐに決められないという場合は、一度家族が持ち帰ることも視野に入れなければなりません。

家具を設置した際の跡など、生活するうえで仕方なく付いた汚れや損傷については、通常修繕費は貸主が負担します。

原則として、普通に生活している分には、借主が修繕費を求められるということはありません。しかし、賃貸物件によっては「特約」があり、入居者が原則以上の負担を強いられる可能性があります。

例えば、退去時に、クリーニング費用が借主負担に設定されるなどです。この特約は、借主である故人が認知していなければ無効になるケースがあります。また、敷金からハウスクリーニング代が引かれて返還されるなど、特約による敷金のトラブルも起こり得ます。

こうしたトラブルを防ぐためにも、事前に契約内容をしっかりと確認したうえで、貸主と話し合っておきましょう。

なるべく業者に頼むのがおすすめ

遺品整理は、専門の業者に頼むという方法も有効です。例えば、亡くなった家族が1人で賃貸物件に暮らしていた場合、発見が遅れて遺体が腐敗してしまう場合があります。さらに、ペットと同居していた場合、排泄物やペット自身の遺体で、部屋がとても不衛生な状態になるケースもあるのです。

こういった状態の遺品整理は、いかに家族とはいえ、対応できるものではありません。専門業者なら遺品整理を行う前に、専門技術を持ったスタッフが最新の薬品・機材を使ってしっかりと清掃を行い、スムーズに遺品整理が行える状態を作ることができます。

まとめ

ここまで紹介した内容以外にも、故人が大切にしていた遺品の捜索や供養、必要がない遺品の買い取りなど、遺品整理業者はさまざまなニーズに対応できます。

遺品整理に困ったら、専門の業者に委託することを検討してみてはいかがでしょうか。