エンディングノートの書き方と書く理由

部屋や仕事机が散らかっていると、なんだかやる気が湧かないものですよね。

ものを片付け、整理することで、さっぱりした気分で新しいことに取り掛かれるのです。

実は、これは人生についても同様です。

これまでの生き方や他者との関わり、遺される家族へのメッセージなどを整理することによって、今後の人生を憂いなく過ごせるようになります。

そのために活用したいのが、エンディングノート。

人生と同じように、予め形式や内容が決まっているものではありませんが、書いておくといい事柄はあります。

本記事では、そんなエンディングノートの書き方や書く理由について解説します。

エンディングノートとはどんなもの?

(1)エンディングノートとは

エンディングノートとは、その名の通り人生の終わり(エンディング)を見据え、これまでの軌跡を記録するノートです。

自分のこれまでのキャリアや交流をしてきた人々の回顧録、どのように最期を迎えたいかという希望、その後の取り計らいについての指示、といった事柄を記すのが一般的です。

(2)遺書や遺言書との違い

エンディングノートと似たものとして、遺書や遺言書があります。

しかし、それらは似て非なるものです。

遺書はメッセージ性の強いものですし、遺言書は法的な効力を有する財産整理方法などを示すという点で、言わば「業務連絡書」に近いものです。

これに対し、エンディングノートには記録とメッセージ、連絡事項それぞれの面を併せ持つという多様な性質があります。

(3)入手できる場所

自前で手頃なノートを用意してもいいですし、本屋の「終活」コーナーにも置いてあります。

また、市役所などの自治体で頒布しているところもありますので、調べてみるといいでしょう。

エンディングノートに書いておくといい内容

(1)エンディングノートの意義

自身の人生の整理だけではなく、家族や親族への連絡という意義もエンディングノートにはあります。

そのため遺言書とは別に、遺したいメッセージや知らせておきたい事柄を書くとよいでしょう。

エンディングノートには、遺されたご家族や親族の混乱を最小限にとどめ、お気持ちを鎮めるという役割もあるのです。

(2)具体的内容

エンディングノートの記載内容として推奨されるのは、大きく分けて2つ。

「本人しか知り得ないこと」と、「本人が意思決定したいこと」です。

具体的には、以下のような事柄が挙げられます。

本人しか知り得ないこと
  • 銀行口座や財産の保管場所
  • 所有している不動産
  • 加入している保険
  • 負債
  • 家族や親族、友人関係の連絡先
  • PCやSNSなどのパスワード
  • 信仰している宗教
  • 自分史
本人が意思決定したいこと
  • 貴重品や思い入れのある品物、ペットなどについて
  • 病気や介護、病院に関する事柄について
  • 葬儀のやり方、お墓について
  • 相続のスタンスについて

この他にも書きたいことがあれば、なんでも書いてよいでしょう。

エンディングノートには、そのような自由さもあるのです。

エンディングノートを書く際の注意点

(1)定期的な見直し

エンディングノートの記載内容によっては、定期的な見直しが必要となります。

なぜなら、たとえば財産の整理の仕方であれば気が変わることもありますし、親族・友人の連絡先などであれば、お亡くなりになるといった可能性もあるためです。

また、相続や税金については、法律の改正なども起こり得るでしょう。

人生はリアルタイムで更新されていきます。それに伴って、エンディングノート自体も書き換わっていくことが考えられるのです。

(2)法的効果はない

エンディングノートには、法律上の効果はありません。

財産の処分先などといった点について、法的な効果を生じさせたいのであれば、遺言書を用意することが大事です。

なお、遺言書があるなら、「遺言書が存在する」という旨を記しておくことは可能です。

(3)家族への伝達

エンディングノートは、普段なら言いにくいメッセージを遺したい場合にも役立ちます。

形見分けや、財産的な価値はないけれど思い入れのある物をどう処分するかという希望も伝えることができるのです。

ただ、ご自身の想いを遺すためには、エンディングノート自体の存在について、きちんと家族に知らせておく必要があります。

まとめ

エンディングノートは自分の人生の軌跡を記録としてまとめたもので、家族へのメッセージなども綴ることができるものです。

書き方や内容は基本的に自由ですが、それだけに「書き始める」時点で負担を感じる方も少なくないようです。

経済産業省による委託事業、「安心と信頼のある『ライフエンディング・ステージ』の創出に向けた調査研究事業報告書」によると、2012年当時で63.5%の方がエンディングノートを知っていながら、実際に作成した方はわずか2.0%に過ぎないといいます。

まずは、自分らしさを大切にして書いてみるところから始めてみましょう。

一歩を踏み出してみることが大事。これもまた、人生と同じなのです。