遺品整理の歴史と遺品整理士認定協会
時の流れは多くのものを変化させますが、それは遺品整理についても当てはまります。
近代から現代にかけて、亡くなった方の遺品を整理する方法や在り方は変化してきているのです。
かつて遺品整理は身内で行われるのが一般的でした。
しかしライフスタイルや家族の形態の変化に伴い、なかなかそれも難しくなっています。
そのため、遺品の整理や処分を専門の業者へ委ねることも多くなっているのです。
そこで今回は遺品整理の歴史と、現代の遺品整理を請け負う資格、「遺品整理士」についてご紹介します。
1.遺品整理の歴史と今昔
近代以前と現代とでは、人々の在り方や文化などが様々な点で異なっています。
ここでは遺品整理という観点から、どのような変化が生じたのかをみていきましょう。
(1)近代以前の遺品整理
近代以前は、家族や親族、そして近隣の住人らで遺品整理を行っていました。
また、布団や神棚、お仏壇、人形といった処分のしにくいものであれば、寺社でのお焚き上げなどによって還していました。
本来、遺品というのは故人のプライベートなものですから、身内で片付けるのが自然です。
そして、多くの家族が祖父母から孫の世代まで共同で住んでおり、また地域の連携も密だった時代には、それが可能でした。
(2)現代の遺品整理
しかし、現代ではそういった事情はがらりと変化します。
第1に、核家族化が進み、祖父母世代との同居をしている家庭は少なくなりつつあります。
遺品もそれなりの分量がありますから、亡くなった家族や親族が遠方に住んでいたら、仕事を休んで数日掛かりでの整理をしなければならないこともあり、非常に負担が大きくなります。
第2に、転勤なども珍しくなくなり、地域のコミュニティも分断され、希薄化してきています。
遺品整理にはそれなりの時間や労力が掛かるにもかかわらず、ご近所の方の手助けを得られにくくなっているのです。
こうした事情から、業者に依頼しての遺品整理が行われるようになったというのが、現代の在り方です。
2.遺品整理士認定協会とは
遺品整理を業者に委託するといっても、その信頼性はきちんと確かめたいものです。
下手なところに頼むと、遺品を乱暴に扱われたり、価値ある物を盗まれたりする可能性もあるからです。
そこで、「遺品整理士」の資格が一つの判断ポイントとなるでしょう。
(1)遺品整理士認定協会とはどんな団体か
遺品整理士は、一般社団法人の遺品整理士認定協会が認定を行っている民間資格です。
この遺品整理士認定協会とは、すぐれた遺品整理士の養成と、若者らの心の育成と社会復帰の支援を事業目的として、社会貢献や遺品整理のサービスガイドラインの策定を行っている、2010年に発足した団体です。
現在では2万名を超える会員、そして950社以上の法人会員が属しています。
(2)遺品整理士認定協会の意義
遺品整理士認定協会の意義は、「遺産整理士」「遺品査定士」「遺品整理指導士」「管理遺品整理士」「遺品整理士認定協会」を商標登録することにより、遺品整理業者の精選を図るところにあります。
遺品整理業という職業自体は、比較的新しく登場したものです。
国内初の遺品整理専門会社が2002年に設立されていることからもわかるように、十数年の歴史しかありません。
そのため、新規参入してきた企業には、残念ながらノウハウや法令遵守意識に欠けるところもあるのです。
そこで、遺品整理士という資格を認定することにより、ただの廃棄物処理と区別された遺品整理業を確立するというのが、遺品整理士認定協会の目指すところです。
3.遺品整理士とは
遺品整理士は具体的にどのような仕事を行うのか、また遺品整理士の資格はどのように取るのか、といった点をみていきましょう。
(1)遺品整理士の仕事
遺品整理士は、遺族の依頼を受けて、清掃や不要な遺品の処分、リサイクル業者の手配などを行います。
一般・産業廃棄物処理業と違うところは、遺品の扱い方でしょう。
故人の大切にしていたものだということを踏まえ、ご遺族の気持ちにも配慮した処分を行うのが、遺品整理士なのです。
(2)遺品整理士資格の取得方法
遺品整理士の資格は、「遺品整理士養成講座」の受講と課題レポートの提出によって認定されるものです。
教材は教本と問題集、資料集、そしてDVDです。
課題レポートの内容としては、遺品整理に必要な正しい知識と処理方法のみならず、廃棄物やリサイクル品の取り扱いに関する法規制などが含まれます。
申込みは「遺品整理士認定協会」への電話、あるいは公式サイトから行うことができ、受講料は25000円、年会費に5000円が掛かります。