認知症の兆候や予防法、生前整理を行うべき理由と説得のコツ
認知症とは?
認知症とは厚生労働省によると「生後いったん正常に発達した種々の精神機能が慢性的に減退・消失することで、日常生活・社会生活を営めない状態」を指すとしています。
認知症の兆候
同居している方は普段から、別居している方は実家に帰ったとき、ご両親が「さっきのことが思い出せない」ようなできごとが起これば要注意です。
たとえばご両親のどちらかと話していて、別室にものを取りに行くため席を外し、また戻ってきたときに「さっきの話の続きなんだけど…」と振ったら、「さっきの話って?」と聞き返された場合。
そのほかこれまで日課のように楽しみにしていたこと。たとえば毎週欠かさず見ていたテレビ番組を忘れるもしくは見なくなる、寝る前に必ず読んでいた週刊誌、長編小説などを読まなくなった場合。
話の内容、テレビや週刊誌、小説のことが記憶としてとどまっていない可能性があり、両親の動向に注視する必要があります。
深刻に考える必要はないとは思うのですが「(認知症が)始まったのでは?」と心積もりをしておいたほうがいいかもしれません。
また前の日、買い物をしてきて、もう買う必要がないものをまた、その翌日も、その翌々日も買い物して帰ってくる場合も要注意です。
何よりもあれほど好きだった人付き合いを避けるようになったり、突拍子もなく怒り出したりするようになるのも認知症の兆候である可能性が大です。
現代医療をもってもなお、認知症を一発で治せるような特効薬は登場していません。
私たちは両親の認知症の進行を見守るもしくはなるべく進行を遅らせることができるよう最善を尽くすしかないのです。
しかし認知症発症前なら予防することができるかもしれません。公益財団法人長寿科学振興財団によると、認知症予防の3つのポイントとして次の項目を取り上げています。
- 運動を行うこと
- 食事に気をつけること
- 社会的な活動に参加すること
くわしくは次章に譲ります。
認知症の予防法3つ
運動を行う
毎日、毎朝であれば、身体的にも負担となり、1日も休めないようにしてしまうと義務となってしまい心理的負担も増しますので、1日おきもしくは週3日程度と決め、運動をするといいです。
運動はウォーキングといった体に負担をかけない、無理強いをしない範囲での有酸素運動が理想です。
食事に気をつける
基本は好き嫌いなく何でもバランスよく食べることですが、とくに野菜・果物(ビタミンC、E、βカロチン)、魚(DHA、EPA)、赤ワイン(ポリフェノール)などはいいとされています。
社会的な活動に参加
ご近所さんでもいいですし、親しくしている人でもいいです。会合や会食、カラオケや飲み会などのイベント、地域行事には積極的に参加し、人付き合いすべきです。
子ども世代としては、その金銭的援助をしたり、外出しやすい環境をつくってあげたりし、支援・後押しをしてください。
また認知症の兆候が現れる前に、子ども世代としてはやっておくべきことがあります。それは「生前整理」です。
生前整理が大切な理由
もしご両親が整理整頓好きで、常に不用なものは定期的に捨てられ、家のなかがスッキリしているなら生前整理をする必要はありません。
生前整理をしてほしい家には次のような特徴があります。
- 掃除が行き届かずホコリがかぶっている
- 部屋はもちろん廊下も荷物で埋め尽くされている
- 本棚やタンスの上にさらに箱やケースが置かれている
- ダンボールにガラクタが入れられ放置されている
こういった状態であれば、生前整理を行うべき喫緊の課題があるといえます。その理由は一つしかなく、高齢者の病気やケガ、事故を招くおそれがあるからです。
- 積もり積もったホコリやカビで呼吸不全になったら
- 寝ているときに部屋や廊下の荷物が倒れてきたら
- 地震で箱やケースが上から落ちてきたら
- 火災で燃えやすいものばかりが置かれていたら
そう考えただけで怖いと思いませんか? しかし子ども世代がご両親の荷物を処分するように進言してもそう簡単に実現せず、多くの場合、怒られるか、口論、けんかになるのが関の山でしょう。しかし悔いが残らないように説得は試みなければなりません。