遺品整理士とは。そのなり方とプロとしての違いとは。

遺品整理に関わる資格の代表的なものに遺品整理士があります。遺品整理を行う業者の社員はこの資格を持っていることが多く、それがきちんとした業者かどうかを見分ける指標にもなります。この資格はどういった経緯で取得し、どういった意味のあるものなのかをこちらではご紹介します。

遺品整理士とは

映画やドキュメンタリーなどで取り上げられることも増え、遺品整理士という職業が世間に浸透してきています。高齢化が進んで孤独死が増えてきたことに伴い、需要が増えつつある仕事です。

誰でも遺品整理士を名乗ることができるわけでなく、遺品整理士認定協会による民間資格を得た遺品整理のプロを遺品整理士と呼びます。そのため、遺品整理を仕事とせず、趣味や自己啓発のために資格を取得している人も少なくありません。

遺品整理業者が年々増加する中、遺品整理に関する法整備はあまり進んでいません。遺品整理業者の中には、遺品整理で出た不用品を不法投棄したり、必要以上に高額な料金を請求したりといったトラブルが起こるようになってきました。

こうしたモラルの低下を是正することを理念に掲げたのが一般社団法人遺品整理士認定協会です。主に遺品整理士の養成講座を運営したり、認定試験を実施したりしています。

遺品整理士は、不用品回収業者や片付け業者と同じように思われがちですが違います。故人の荷物を片付けるだけでなく、重要書類や貴重品などを探したり、遺品を供養したり、故人宅を清掃及び原状回復したりと幅広く対応しているのです。

ただし、事業者によってサービス内容は異なります。単に物を整理するのではなく、故人や遺族の思いがこもった品々を供養するという認識のもと作業を行っている点が大きな特徴といえます。リサイクル品や廃棄物など法規制の知識をきちんと持ち、その上で正しく処理を行うことも、遺品整理士の大切な仕事です。

プロとしての遺品整理

遺品整理士になるには、遺品整理士認定協会が発行する資格を取得する必要があります。受講を申し込み受講費用を支払ったら、教材を使って資格取得に向け勉強を進めていきます。

通信講座を受講する形なので、自分の生活に合わせて勉強することができますが、受講期間が2カ月と短いため、計画的に進めることが大切です。受講終了後、レポート提出によって基準を満たしていれば合格となります。合格率は65%です。

遺品整理士はプロだからこその仕事が魅力です。遺品の整理だけでなく、仕分けから貴重品などの探索、遺品の買収や供養、清掃など故人のお宅をまるごとすっきり整理してくれます。遺品整理のプロである遺品整理士にお願いすることで、いろいろなメリットが考えられるのです。

少子高齢化の影響で、遺族の高齢化も進んだり、遺族の数が少なくなったりという問題が起こっています。また、遺族が遠方に住んでいるというケースもよくあることです。なかには故人に遺族がいないということもあるでしょう。

故人が住んでいた家が賃貸物件だった場合、部屋を明け渡す必要が出てきます。持ち家であっても、なるべく早く整理したいけれど、遺族の都合でなかなか手を付けられないということもあります。そのような背景があり、遺品整理士の需要は高まっているのです。

遺品整理をする際には、法令に沿って処分を行う必要があります。知識がなければ、限られた時間で的確に遺品整理を行うのは難しいでしょう。そのため、廃棄物処理法や遺品の取り扱い方、遺品整理に関する法律を身につけた遺品整理士が必要となってくるのです。

遺品整理に依頼するメリット

遺品整理士に依頼する1つ目のメリットは、作業時間を確保する必要がないということです。半日もしくは1日もあれば、「遺品整理くらい自分で簡単にできる」と思うかもしれません。

しかし、使えそうな日用品やさまざまな書類などが出てくるたびに、仕分けや処分に想像以上に時間がかかってしまいます。日にちを分けて終わらせるにしても、休みのたびに故人宅を訪れて片付けを行うのは、精神的にも体力的にも大きな負担ではないでしょうか。プロにお願いすれば、短時間で確実に遺品整理を終わらせることができます。

2つ目のメリットは、処分を失敗しないということです。面倒だからといってすべての荷物を処分してしまうと、なかには故人が大切にしていた思い出の品や、土地の権利書などの大切な書類が混じっていることがあります。どこに何がしまってあるのかが分からない状態で片付けを進めると、必要な書類や形見を探しても見つけられないというケースも少なくありません。プロの遺品整理であれば、経験をもとに探し出してくれるため安心です。

3つ目のメリットは、大型家財も安心して任せられるということです。家電や家具などを運び出すのには、かなりの労力が必要です。特に遺族が少ない場合や、高齢化している場合には難しいかもしれません。遺品整理士にお願いすれば、大型家財の運び出しや処分もしてもらえます。

4つ目のメリットは、遠方に住んでいても遺品整理ができるということです。遺族が遠方に住んでいると、わざわざ足を運んで片付けをするのは大変です。距離によっては、仕事を休んで作業を行う必要も出てくるでしょう。しかし、なかには立ち会いがなくても作業してくれる遺品整理士もいるので、利用してみましょう。

まとめ

遺品整理は思ったより時間も体力も精神力も必要な作業です。しかし、プロの遺品整理へ依頼すれば、そういた負担を減らし、後悔の無い遺品整理にもつながるでしょう。

少しでも自身の負担を減らし、安心して故人を送り出すためにも、遺品整理のプロである遺品整理士を活用してみませんか。