トラブル事例

今回は、遺品整理「業者の選び方」について2回目です。テーマは「トラブル事例」です。

遺品整理業者は8~9000社ほどあるといわれており、依頼件数はもっと多いことになります。その数だけトラブルはあると臆され、実際に独立行政法人国民生活センターも事例を公表し注意を呼びかけています。

金額にまつわるトラブル事例 話が違う

まずは「料金」「費用」といった金額面での遺品整理トラブルをみていきます。国民生活センターが公表した事例ですが、

  • 最初に口頭で提示された金額と最終的に見積もられた金額が違っていた
  • 見積もりという軽い気持ちでお願いしたが、その日のうちに契約することになった
  • 他業者よりも高額だったことを知りキャンセルを申し出たら手付は返せないといわれた

そうです。国民生活センターは、契約前に依頼内容を明確にし、複数の業者から見積もりをとり、サービス内容や金額を比較すること。キャンセル料が発生することがあり、契約前にいつからいくらかかるのか確認すること。不審に思ったのであれば、消費生活センター(消費者ホットライン188)などへ早めに相談することを呼びかけています。

参考:独立行政法人国民生活センター 遺品整理を頼むときは、複数の事業者から見積もりを

http://www.kokusen.go.jp/mimamori/mj_mailmag/mj-shinsen276.html

見積もりのとり方、見積書のチェックポイントなどにつきましては、こちらで紹介しています。

遺品にまつわるトラブル事例 あったはずなのに…

遺品整理では、

  • ご遺族様が残すことを希望した故人様の愛用品や思い出の品々、形見分け品、貴重品
  • 不用品として処分・捨ててしまうもの
  • リサイクル品として買取対象となるもの
  • お仏壇やお布団、お写真など、ご供養やお焚き上げをすべきもの

などに仕分けされます。

そのなかで、大きなトラブルとなりうるものが、遺族が残すことを希望した故人様の愛用品や思い出の品々、形見分け品、貴重品です。

遺品整理完了後、家のなかに残っているはずの貴重品がなくなってしまったという事例も実際にあるようです。

一般社団法人遺品整理士認定協会理事長・木村榮治氏の著書「プロに学ぶ遺品整理のすべて」には、次のように記されています。

“遺品整理士の資格を持つ社員がいる優良な業者であれば、このようなケースがおきた場合、ご遺族にどこでどのように見つかったと説明し、お渡しします。しかし、業者の中には、現金や宝石などが見つかったとしても、何食わぬ顔をしてポケットにしまい、持ち去ってしまうという悪質な事例もあるのが現実です。”

たとえ、どんなに忙しくても遺品整理実施日には、できるかぎり立ち会うこと。不用品として処分・捨ててしまうものも目視して確認を行うことで、こういったトラブルは回避できるのではないでしょうか。

なお、可能であれば、遺品整理業者が入る前に、現金や宝石、そのほかの貴重品や骨董品などの有無をチェックし、ピックアップしてひとつの部屋に集めて隔離し遺品整理業者に触らせないなどの対策をとることも理想的です。

これらがむずかしいときは、必ず遺品整理士のいる遺品整理業者に依頼するようにしたいものです。

モラルに抵触するトラブル 遺品が山や河原に…

これは、ご遺族のみなさまには非がないことです。しかし、業者選びで注意することでお伝えしていたとおり、一部の業者がモラルに反し、違法営業・不法投棄をしているおそれがあります。

本来、一般廃棄物収集運搬業許可を得ていない場合、しかるべき専門業者に不用品やごみを引き継ぎ、自治体のルールに則って分別・処分しなければなりません。

ところが、その外注費、処分費用を惜しみ、私腹を肥やすために違法な手段で遺品を山や河原に不法投棄する業者が存在しています。

亡き親への最後の孝行として、悲しい気持ちを少しでも和らげようと考え実行に移した遺品整理の結果、大量のごみを山や河原に勝手に捨てられたとなれば、たとえ、預かり知らないところで、直接、手を下していなかったとしても、環境汚染や犯罪に加担したことになりかねません。

その事実を知ったときは、きっと心が痛み、苦しむことになります。

たとえ遺品整理業者が、知人からの紹介、旧知の仲であったとしても、普段、どのような仕事ぶりで遺品整理業務を行っているかは確認すべきです。そのために

  • 一般廃棄物収集運搬業許可を得ていること

の確認は最低限とるべきでしょう。

遺品買取にまつわるトラブル 買い叩かれた

現在、遺品、遺品ではないにかかわらず「押し買い」というトラブルが高齢者の方を中心に急増しており、国民生活センターも注意を呼びかけています。

押し買いトラブルの事例として公表されているのは、

  • 「不用品」を買い取るという名目で家にあがり込み
  • 「壊れた宝飾品」を業者が買い取ったが、そのなかに形見の指輪が入っていた
  • 安すぎる買取価格だったと思い、あとから買い戻したいと申し出たが転売されていた

というものです。

遺品整理業者のなかにも、相場や適正価格を無視し、高齢者や女性だから強くは出ないだろうという理由で、かなり低い金額を提示して、利益を得ようとする者も存在します。

突然、訪問してくるような業者は家に入れないこと。迫られても貴金属の売却は断ることが大事です。

参考:独立行政法人国民生活センター 報道発表資料

http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20170907_1.pdf

遺品の買取依頼は、せめて古物商許可を得た遺品整理士のいる業者にお願いするようにしましょう。

まとめ

トラブルは、手間を惜しまなければ回避することができます。

  • 遺品整理士がいること
  • 一般廃棄物収集運搬業許可を得ていること
  • 古物商許可業者であること

は最低限、確認をとるようにしましょう。後悔のない遺品整理をされることを望みます。